熱エネルギー変換システム学 研究内容
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九州大学 大学院総合理工学府 環境エネルギー工学専攻 熱エネルギー変換システム学(宮崎研究室)

ヒートポンプ・冷凍サイクル

ヒートポンプエアコンや冷凍機で使用されている冷媒は,二酸化炭素と比較して数百倍〜千倍以上という高い温室効果 (GWP: Global Warming Potential)を有します.今後,自然冷媒 (自然界の物質循環に悪影響を与えない物質.例えば,二酸化炭素,アンモニア,水,空気,など) や温室効果が二酸化炭素と同程度に小さい合成冷媒に転換していくことが世界の流れです.ヒートポンプ装置や冷凍機は,使用する冷媒に対して圧縮機や熱交換器が最適化されているため,冷媒の転換は機器の設計変更を伴います.新たに開発された冷媒について,熱物性値 (密度,飽和蒸気圧,比熱など) や輸送特性 (粘度,熱伝導率など)など,物質そのものの特性がわからなければ基本設計ができません.加えて,熱交換器における伝熱特性や圧縮機も含めたサイクル特性を把握することが,機器の最適設計・性能予測には欠かせません.私達の研究室は,九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所 次世代冷媒物性評価研究センター (NEXT-RP)と協力し,冷媒に関わるこれらの総合的な課題に取り組んでいます.

 

低GWPヒートポンプサイクルの実験装置

吸着式ヒートポンプ・蓄熱システム

活性炭とエタノールを利用した吸着式ヒートポンプ・蓄熱システムの実験を実施しています.実用化されている吸着冷凍機の冷媒は水であり,吸着材にはシリカゲルやゼオライトなど,水と相性の良い物質が使われています.私たちの研究室では,活性炭が大きな比表面積を持つこと,また,様々な原料からタイプの違う活性炭を製造できることから,活性炭に着目しました.活性炭は,アルコールやフロンなど,様々な種類の作動媒体を吸着できる材料です.高湿度環境下では,水も良く吸着します.
活性炭は,比表面積が大きく,細孔の容量も大きいため吸着材として優れていますが,一方,内部に大きな空孔を持つということは,熱を伝えるためには不利です.さらに,比表面積の大きい活性炭は数十から百マイクロメートルの微粒子状なので,熱交換器として成形する技術や,粒子同士の伝熱性など技術課題が多く存在します.これらを改善するために,活性炭の圧縮成形などによる伝熱性向上について研究しています.

 

活性炭とエタノールを利用した吸着式ヒートポンプ・蓄熱システム実験装置


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http://www.cm.kyushu-u.ac.jp/dv10/TECS/