少子高齢化や人口減少など、近い将来の社会の縮退が避け得ない日本の現状を考えれば、若い皆さんは卒業後、否応なく海外との繋がりの中で仕事をすることになるでしょう。会社の持つ海外工場や海外の取引先との様々な交渉、出張や長期赴任、就職した会社が突然海外の企業に買収される等々。こうした場面において、職人的な深い専門知識だけでなく、英語力、言語の壁に物怖じしない交渉力やハートが重要な事は言うまでもありません。
総合理工学府は九州大学の中でも、特に留学生の割合が高く、多くの研究室で留学生が学んでいます。そのため、研究室での日々の生活、セミナーやゼミなどの機会を活用して、自分の英語力、度胸をつけ下さい。
理工系のエンジニア、研究者にとっては、コミュニケーション能力に加え、英語を大量に速く読む能力も非常に重要です。日本語で執筆された幅広い工学分野の書籍が日々発刊される日本の状況は、非英語圏にありながらエンジニアにとって母国語で基礎知識を習得できる非常に恵まれた環境です。しかし、こうして日本語にて執筆される書籍の多くは、教科書のようなある程度「枯れた」情報や多くの読者を対象としたgeneralな事項を取り扱っているため、最新の動向や、より専門的でspecificな情報にアクセスするためには、英語が必須となります。自分の取り組む研究分野の全体像を掴み、より深く理解するため、是非、積極的に、海外Journalの関連分野の論文を大量に精読する習慣を身につけて下さい。
こうした訓練により大量に理工系の論文に触れる事は、自分の研究成果を英語の論文としてまとめる際に大きな力になります。環境エネルギー工学専攻では、修士課程在学中の研究成果を海外Journalに英語論文として纏めて投稿し、採択される学生さんも少なくありません。
また、九州大学総理工、上海交通大学、釜山国立大学の3大学による学生向けの研究発表のカンファレンスCSS-EESTが3大学の持ち回りで毎年行われますので、意欲のある学生はこの会議に参加して自分の研究成果を英語で発表する体験をする事ができます。
加えて、専攻の授業についても、留学生と日本人学生が共に学ぶため、多くの英語開講科目が用意されています。最初は難しいかもしれませんが、専門分野の内容を英語で聞いて、理解して、さらには発信するためには格好のチャンスです、有効に活用して下さい。