見えないものを視る.もしくは,測る.

熱機関工学研究室 鶴 大輔 助教

Daisuke TSURU

気体の流れのように,人間の目で直接見ることのできない現象を可視化することを大きな目的として研究を行っています.測定対象は,様々ですが,1秒間に数回転から数十回転するエンジン内の燃焼過程や軽油の液柱・液滴の分裂過程のような高速現象を主に観測します. 可視化手法も高速度カメラを用いる方法やレーザーを使用し最新計測にこだわらず,3D-CFDや従来の計測手法も駆使し,2次元または3次元の物理量を計測します.

1. 燃料の着火・燃焼過程の詳細観測

計算機の発達により数値シミュレーションの解析結果は,より多くの物理量,化学種,反応をより高い空間分解能で計算できるようになってきています.それに伴い,現象の可視化への要求も高くなり,より多くの物理量をより高精度に計測することが求められております.再現性が難しく,非定常性が大きい1回の現象から,いかに多くの物理量を得るかが非常に重要です.図は,エンジンの中において燃料が着火・燃焼に至る過程の1部であり,上から順に燃焼中における液相・固相を可視化するバックライト法と火炎の発光より温度を推定する2色法を用いた温度分布と燃焼領域を可視化するシャドウグラフ法を組み合わせして,同時計測を可能にした画像です. その他にも,ミクロの現象が最終的にマクロの現象に及ぼす影響を確認するため,3つの特殊レンズを駆使して,高速度撮影し数値解析に用いるモデル開発を行っています.

2. 筒内温度・火炎温度の計測

熱機関は,熱を動力に変換するために温度の管理は非常に重要であり,熱効率の向上のためにも温

2. 窒素酸化物NOxの低減方法の開発

度計測が必須となっております.ここで,温度の計測には,従来から使用されている熱電対を用いますが,応答性・精度を高くするために 13μmから50μmほどの極細熱電対および専用アンプを設計・製作を行い,エンジンの中の温度分布を時系列で捉えようとチャレンジしています.